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『自閉症遺伝子 見つからない遺伝子をめぐって』について

腐人は、フィクションは作家で読むことが多いが、
ノンフィクションはネタで読む。

ただ、興味ある分野ってのは、やっぱ偏っちゃうので、
今回も、読み終えるまで気づかなかったのだが、
この著者さんは、以前、ここで取り上げた
『人種は存在しない 人種問題と遺伝学』を書かれた方だった。

まず、書誌情報の再掲載からいきますか。

(772)一般本 『自閉症遺伝子 見つからない遺伝子をめぐって』 ベルトラン・ジョルダン、林昌宏

腐人自身は、自閉症とは、

遺伝が原因で生ずる病気であり
脳の器質的なところが問題であるがゆえに
脳がまだ固定化されてない幼少期に療育によって
若干の改善ができるかもしれない、
というぐらいしか、残念ながら対処法法がない疾患


という認識だ。

ちなみに

その遺伝要因を持っているのは恐らく男性。
高齢になればなるほど、その出現率があがることは事実だが
なぜなのかは、まだわかっていない


という認識もある。


この辺は、本やニュースの
読みかじり、聞きかじりで集めたものなので
まぁ、今の一般認知はこんな感じなんだろな、
と思っていた。

だから、この本を読んで、すごくびっくりしたのだ。

フランスでは、いまだに自閉症の原因として、
親子関係(特に母親)の愛情不足
っちゅー説が語られてるってことに。

あと、グルテンやカゼインの摂取をやめればよくなるとかの
食餌療法とかも、未だにあるということに。
※後で、ちょっと補足します

へ、へぇぇぇぇぇ・・・
溺れる者は藁をも掴む という心境なのか。
何かにすがりたい気持ちがそうさせちゃうのかねぇ。

発言小町で、よく子供がそうだといわれた、という
お母さんの相談が載ってるが
レスには、すこしでもはやく療育を、というのがつくから、
日本のほうがまだマシなのかもしれないなぁ。


ちなみに、この病気についてもうちょっと補足すると、
男女比は、圧倒的に男が多く、4:1。

診断がつきだすのは、4歳頃からだそうだが、
できれば、療育は2歳から始めたほうがいい、
と言われている。

しかし、4歳の時点ですら、診断するのが難しい病気なので、
2歳で診断するのは、現時点では、ほぼ不可能。

そのため、この大事な2年を無駄にロスさせないためにも
遺伝子マーカーで、
自閉症であるかどうかを判明させられないか?
という研究が進められている。

この本は、その現状について書いてあるものだ。

ただ、残念ながら、結論を先に言うと、
本のタイトルにあるとおり、まだみつかっていない。


とはいえ、潜在需要としては、
ハイリスクグループ(兄弟姉妹に自閉症患者がいる)だけでも
十分、市場が見込めるし、
もし製品化できれば、ほぼ間違いなく大きな市場になる。

ってことで、ベンチャー企業が頑張っているらしいのだが、
今のところ、うまくいってない。

なぜか。

まず、この疾患が、単一遺伝子疾患(※)ではないから。
※メンデル型疾患、メンデル遺伝病ともいう

この単一遺伝子疾患ってのは、
ある 1 個の遺伝子(単一遺伝子)が原因で起こる病気のこと。

遺伝性疾患は3000種類ぐらいあって、
この単一遺伝子で起こるものと、
複数の原因遺伝子をもつものがあり、
単一遺伝子疾患の場合だと、
その遺伝子が特定ができれば、患者数を抑えることができる。

その代表例が、テイ - サックス病 だ。

どういうやり方をしたかとかを知りたい人は、
『人種は存在しない 人種問題と遺伝学』を読んでもらうか、
このブログの過去にあるこの本のコメント読んでくらさい。

他にも単一遺伝子疾患は、
ハンチントン病(ハンチントン舞踏病)、
嚢胞性線維症、鎌状赤血球貧血、
筋硬直性ジストロフィー症などがある。

自閉症は単一遺伝子疾患ではないので、
いくつか、これではないか?と思われる候補はあがっているが、
現時点で、確定されたものはない。



続いて、理由の2つめ。

発現症状が複雑であること。

上記に書いた病気の場合、
この症状がでればこの病気、という明確な病態があるが
自閉症の場合、病態が複雑なので、
偽陽性~陽性~偽陰性と、グレーゾーンが大きくなってしまう。

そうすると、当然ながら、
遺伝子比較がしにくくなる。

例えば、
自閉症と診断されたAさんと、そうじゃないBさんは
ココが違っているが、
自閉症の疑いがあるCさんと、そうじゃないBさんだと、
ココは同じだけど、アッチが違う。

問題はココ?それともアッチ??

と、そーゆー話が頻発するんだそう。
※一般の人でも遺伝子のコピーエラーは結構な頻度で出現する


その上、この比較は、発現率の高さからして、
できれば自閉症患者の兄弟姉妹がいるといいらしいのだが、
現実的には、第一子が自閉症児だった場合、
きょうだい児を産まない方が多いので、
症例数が思うように集まらないという。

そりゃそーだわなぁ
研究のために子供産むんじゃないもんねぇ。


ちなみに
「だったら、自閉症が遺伝性疾患だと言えないんじゃないの!?」
とおっしゃりたいかたもいらっしゃるかもだが、
これは双子の研究により、ほぼ間違いないとされてます。

どういう根拠なのか、ご興味ある方は本書をどうぞ。

・・・とまぁ、そういう事情があって、
研究者さんたちが努力してますが、
自閉症をひきおこす遺伝子は、まだみつけられてない。

とはいえ、まさに日進月歩の世界なので
今この時点でも変動してると思いますし、
いくつもの遺伝子が候補にあがっちゃ消え、あがっちゃ消えしてる中、

PITX1

脳下垂体ホルモンに介入する遺伝子だそうですが、
これは、統計学的に自閉症とつながりが強い
といえるだけの根拠がみつかったとのこと。


他にも

H2AFY


もしかしたらこの遺伝子によって
自閉症が主に男性に発病する理由が説明できるかもしれないと
著者のジョルダンさんは、おっしゃっている。

そういや、自閉症の個体と、そうでない個体の比較より、
男女比が4:1であることに注目して、
そっちの差異を探したほうがいいんじゃないか?
と、おっしゃってたなぁ。

研究者さんが腐人のブログごときを読んでるとは思わないが
もしお読みであれば、
そういう切り口を試してみられるのもよろしいかもしれない。


最後に食餌療法の補足。

ジョルダンさんは、
これ(食餌療法)によって「治る」ことはない、
とおっしゃっている。

この疾患が、
映画『ロレンツォのオイル』のような原因によって
発症するならば、効果があるのかもしれないが、
残念ながらそうじゃないからなぁ・・・と腐人も思う。

ただ、症状の緩和という点においては、
頭から否定しちゃわなくてもいいんじゃないかな?
っちゅー気持ちもあるのだ。

なんでかというと、
ダニエル・タメットさんという方がおりましてですね。

この方は、サヴァンで、共感覚をもち、
アスペルガー症候群を抱えてはるのだが、
自閉症の研究者にとって、
ものすごく貴重な存在といわれてる。

なんでかっちゅーと、
自閉症患者の多くは、
どうしてそういう行動をとるのかを説明できないんだけど、
タメットさんは、説明できるから。

なので、研究者にとって「なぞ」なところが
「どうしてか」わかってくるからだ。

実際、腐人は著作を読んだが、
ものすごくわかりやすく書いてある。

で、この方がその著作の中で、
電動歯ブラシを使えない理由ってのを書いてはるんですな。

聴覚がとても過敏なため、
通常、気にならないような音域の音が聞こえてしまい、
それが耐えられないんだそうだ。
※今は、耐えられる周波数のものがでたから平気とのこと

だから、彼は小さい頃、
歯磨きを嫌がり、逃げまくったらしい。

でも、親にとっては、
「歯を磨きなさいといっても、暴れて歯磨きをさせない子」
としか見えない。

歯ブラシさえ別のものにしたら収まる、
たったそれだけの、とても簡単なことなのに、
その意思疎通ができない、
これが自閉症のやっかいなところなんだと思う。

なので、もしかしたら
グルテンやらカゼインやらにアレルギーがあって
拒絶を示しているだけなのに、
そのあらわし方が、言葉ではなく、癇癪やら暴れる、
という形で、でているのかもしれない。

ちなみに、腐人はグルテンくさいの大嫌いで、
アレルギーは起こさないが、飲み込めない。
リバースします。

だからさ、余計に思うのかもしれないが、
それらを除去する食餌にすることで、
子供がおとなしくなるというなら、
それはそれで効果があるといえるんじゃない?
と思うんだよなぁ。

実際、腐人は赤ん坊の頃、
癇癪は起こさなかったが、
食わされるたびにリバースする、
という対抗手段にでたからね。

なので、
根治治療ではなく、対症療法だけど、
それでよくなることが1つでもあるなら、
やる意味はあるんじゃないかなぁ。

でも、勘違いして
「治った」と思ってはいかんけどさ。


決して読みやすい本ではないし、
もしかしたら関係者にとっては、
希望を打ち砕かれることのが多いのかもしれないが
現状を冷静に分析してる、いい本だと思います。

ご興味ある方はどうぞ。
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[ 2014/09/02 ] 腹黒読書録 | TB(-) | CM(-)
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