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『エイズの起源』について

実は、師匠から、非常に興味深いネタがまわってきてるのだが
まだよく消化できとらんので、今日はこっち。

(569)一般本 『エイズの起源』 ジャック・ペパン、山本太郎

やーっと読めた!ってのが第一声かねぇ。

おもろくないとか、文章が難解というんではなく
ここに詰め込まれてる情報量が専門的でかつ多量だったため
腐人の劣化したCPUでは処理に時間がかかった・・・
って話なんだが。

ま、それ以上に、他の本を優先し、口の悪い血族に
「読む気なくて飾ってるんだと思ってたー」
とか言われる状態が長かったんだよね・・・ははは。


そーゆーどーでもいいことはともかく。

非常に興味深い内容で、
久々に自分用アーカイブとして残しておきたいものだった。

よって、以下は、そのつもりで書いてますんで
ご興味ない方はすっとばしてください。

ゆったかんねー!

エイズの原因が、HIVウィルスと言われるものだというのは
周知の事実。

1981年にCDC発行の「疫学週報」に、
ゲイの間でカリニ肺炎がはやっていると紹介されたとき、
エイズが世界に公式に認知された。

この本は、それから30年が経過し、
当時よりもいろいろとわかってきたこと、
まだわからないことを含めて、
現時点でいえる「エイズの起源」についてまとめてある。


俗に、HIVといわれてるウィルスですが、
実は1つじゃなかったりする。

遺伝子配列の違いで、HIV-1とHIV-2というのがあり、
この2つは50%以上文字配列が違っている。

世界の主流は、HIV-1。

HIV-2は西アフリカに限定され、感染性が低いため、
死んでいく感染者の方が、新規感染者より多いので
静かに消えていこうとしているウィルスだ。

なので、人が余計なことをしなければ
何にも心配することはない。
余計なことをしなければ・・・。


一方のHIV-1であるが、
さらに、M、N、O、Pにわけられる。

Mというのは、メインの意味。
このHIV-1Mが、ほとんどを占める。

ちなみに他の記号は、
N=MでもOでもない「ノン」か、「新しい」のN
O=「外れ」という意味の「アウトライヤー」のO
Pは、なんだっけ?
説明してたところがみつけられんかったのでよくわからないが、
ほとんど症例がみつかってないけど、
MでもOでもNでもないもの。

このHIV-1NもHIV-1OもHIV-1Pも、
カメルーン近辺で極少数みつかっただけで、
遺伝子をみると、ゴリラのサル免疫不全ウィルスと近縁だそう。

よって、おそらくHIV-1Mとは違う
感染経路をたどったものと思われる。


問題の、HIV-1Mだが、
これは恐らく中央アフリカにいる
ツェゴチンパンジーのサル免疫不全ウィルスが
元だろうと言われてる。
(この根拠を知りたい人は、本書読んでね♪)

ところで。
このHIV-1の遺伝子は、動物の遺伝子変化
(例:サルと人が1000万年かけて分化した)
にくらべると、100万倍という恐ろしいほどの速度で進化する。

つまり、1000万年かかった進化を10年でやっちゃうのだ。

なので、このHIV-1Mは、
さらにサブタイブA、B、C、D、G、H、J、Kにわかれ、
感染者の中で2つのサブタイプに感した人がいると、
そこで組み替えがおこり、CRF01-AEやCRF02-AGといったものをつくる。

このサブタイプによる症状の違いというのは、
Dを除いて、ほとんど変わらない。

ただ、Dだけは、病気の進行が早く、早期に死亡することが多い。

あーでも、Cもおそらく、他とちょっと違うんだろな。

というのも、世界の感染者の半数の人が
このHIV-1M-Cに感染してるのだ。

なぜかというと、サブタイプCには、
「女性が感染すると、膣内へのウィルス放出量が
 他のサブタイプより多い」
という特性があるので、
女性から男性への感染を容易にするんだそう。

HIVへの感染経路は、3つ。
性行為と、血液と、母子。

血液においてもCは感染しやすい特性がみられてるので、
世界の多くの人がコレに感染してるんだろう。

ウィルスの説明が続いてるので、ついでにいえば、
各サブタイプは、こんな感じに分布している。

●サブタイブA
東アフリカ、中部アフリカ、東ヨーロッパ、パキスタン

●サブタイプB
北米、西ヨーロッパ、オーストラリア、タイ、中国、中部アフリカでは稀

●サブタイプC
南部アフリカ、中部アフリカ、インド、中国、世界中のHIV-1の半数

●サブタイプD
東アフリカ、中部アフリカ

●サブタイプCRF01-AE
タイ、その他のアジア、中部アフリカ

●サブタイプCRF02-AG
西アフリカ、中部アフリカの一部


みておわかりのように、
アフリカは、非常に多様なサブタイプを有している。

それは、発祥の地であるから。
※といっても、最終的に現時点でいえるのは
 中央アフリカだろうと言う程度で、
 ××国のこの町!といえるほどの精度はない



では、他地域においては、
どうしてこのような偏りが生じているのか。

それを歴史、疫学、ウイルス学など包括的視点から
解明しとるんです。

歴史・・・は言わなくてもなんとなくわかるよね。
それぞれの国にどういう社会的変化があったのか。

疫学・・・古い標本や、血清といったものを調べて、
いつ、どこの時点でHIVの感染があったのか。

ウィルス学・・・分子時計という分子生物学の手法によって、
このウィルスがいつ生じたものか。

こーゆーのを融合して、
エイズがどうやって発生し、どうやって伝播していったのか
ってのを書いてるんですね。

・・・腐人はアッパラパー子なので、
だから読むのに時間かかったの
わかってくれる!?

ちなみに。
分子時計とはとか、
もっと詳しいウィルスの話を知りたい人は
本書を読むか、ご自分で調べてください・・・。

腐人にこれ以上の説明を期待しても無理!
なんもでません!


で、以下、ざーっとした流れを、
文系の腐人が一番なじみやすい歴史を軸に書く。

まず、サル免疫不全ウィルスをもった
ツェゴチンパンジーから、人への感染は、
1920年ごろに起こった。

ちょっと、「え・・・」と思ってしまいますが、
サルを狩猟し、食べるって、
あの地域の方には普通のことなんですよね。

その過程のどこかで、おそらく血液感染で、
サル免疫不全ウィルスに人が感染した。

この1920年以前にはなかったの?
と思われる方がいらっしゃると思いますが、
その理由はコチラ。

この時代、欧米列強が、アフリカの植民地支配を強め、
火器がアフリカ大陸に流入し、
土地開拓が行われたため、
これまでなかなか捕まえられなかった俊敏なサルが
容易に捕獲できるようになった。

結果、食卓にサルがのる機会が増えたんですね。
それはすなわち、感染確率が格段にあがることを意味する。

そんでもだ。
アフリカ大陸全般にひろがるのに、
そこから50年ほどかかるんです。

ってのも、このサルから人への感染は、
やっぱ、めったにないことなんだ。

なので、HIV-2なんかは、
そこからさらに人に感染させるウィルスに進化できず、
どんどん消えてってんのね。

でも、HIV-1Mは、人のある行為により、
ヒト=ヒト感染を容易にするウィルスに変化した。

その行為ってなんだというと、医原性感染。
わかりやすくいえば、
注射針の使いまわしによる感染だ。


植民地にやってきたヨーロッパの人たちは、
そこにある風土病をなくそうと、
いろいろ努力するんですよ。

血清つくったり、予防に注射したり。

でも、それが、結果的にはウィルスを進化させ、
HIVを広めてしまった。


そこにプラスして、アフリカの旧来の社会を
ヨーロッパ近代社会に変化させようと
街と制度づくりをはじめる。

労働者として、現地の男手を集めるようになり、
女子供は地方に残される。
一時は、男女比が、5:1という不均衡な状態になったそうだ。

そうなると、どうなるかは、まーわかりますよね。
人類最古の職業が繁盛し、倍々ゲームで感染が広まっていく。

っても、はじめのうちは、固定的な相手としかしなかったが
(家政婦というのは、
 家のこととそっちのことの面倒をみてくれる人のことだったらしい)
都市化とともに、職業として手広くやる人がでてきて
加速度的に広まった模様。

・・・これ、ものごっつい端折って書いてますが、
本書においては、各国がアフリカでどういうことをしたかが
かなり詳しく書いてあり、
歴史的読み物としても、とても興味深い。

繰り返しになりますが、ご興味ある方は本書をどうぞ。


さて、そんなアフリカだが、1960年代になると、
各地で独立運動が起こり、人の行き来が活発化する。

アフリカの中でも、サブタイプの広がり方に違いがあるのは、
その行き来の結果によるところが大きい。


そして、ここから、HIV-1Mウイルスが、
アフリカ大陸から世界各地に広がり始めるんですな。

それを読み解くにあたって、ポイントになるのが、
コンゴとハイチだ。

コンゴは中央アフリカにある地域だが、
植民地時代、宗主国はベルギーだった。

ベルギーは、行政関係をベルギー人で支配しており、
コンゴ人を育成しようとしなかった。

その結果、独立運動でベルギーがひきあげたあと、
国の運営ができなくなり、
コンゴのトップはハイチにSOSをだした。

そのため、ハイチから人が派遣され、
国の基礎づくりができるまで、ハイチ人が手助けしてたんですね。

で、その中の一人のハイチ人が、
そのときにサブタイプBのHIV-1Mウィルスに感染し、
ハイチに持ち帰った。

これが、北米、西ヨーロッパに広まったサブタイプBの大元だ。

このハイチから先に広まってったスピードは、
アフリカにゆっくり拡散されたのとは大きく異なる。

その理由は、大きくいえば2つ。

1つは、その頃、アメリカのゲイの間で
ハイチが買春天国とされていたため。

この辺のくだりは、腐人にはたまらなくおもしろいのだが、
書くの控えます。
ご興味ある方は、本書読んで~。

ひとつ言えるのは、何事も過ぎたるは及ばざるが如し。
やりすぎたら、取り締まられるんです。


そして、もう1つが、カリブ海の吸血鬼といわれた
ヘモカリビアンという血漿分離センターが作られ
血液貿易が行われたため。

もうかる事業ってことで、国をあげて血液産業をバックアップし、
「赤い金」と呼んでたらしい。

貧しい人たちから3~5ドルで血を買うのだが、
何度も採血できるように、
血漿のみ分離して、残りの血液は戻す
ってなことをしたため、
他人の血がまざって、HIVや肝炎ウィルスがひろまった。

また、取り出された血漿は、
血友病患者に投与される濃縮第Ⅷ因子製剤や
アルブミンや免疫グロブリンに使われた。

アルブミンや免疫グロブリンは、
生産過程でウィルスが不活性化したため
新たな感染者を生まなかったが、
濃縮第Ⅷ因子製剤は、違った。

1つのロットをつくるのに
2,000~25,000人の血漿が必要で、
その1ロットを12人に投与する。

その血漿提供者の中に
たった一人でもHIV-1M感染者がいたら?

その先は書かなくてもわかるだろう。
本書を読むと、ニンゲンの本質が垣間見られます。

このヘモカリビアンは、
その後、政変によって閉鎖される。

そこで行われていたことの詳細については、
もし、2010年のハイチ地震がなければ
残されたデータや血を調べ、解明することができたろう。

でも、今、すべては失われ、
この先、この部分が判明することはまずない。

ただ、その結果として、世界各地にHIVがばらまかれ、
この売血・血液貿易は、
ハイチだけでなく他国でも行われていたため、
幾何級数的に世界中に広まることとなり・・・・・・
冒頭の1981年がやってくる・・・。


と。
ここまでたどってきた結論として、著者のジャック・ペパンさんは、
「人類の生存に対して長期的に最も脅威となるのは
 人類そのものである」

という教訓を思い出したと書いている。

そして、これは「自明な話」だと。

よって、このエイズの話から
「善意の下に行われた介入が、良い結果だけでなく
 微生物レベルでの危機的な状況の出現を
 思いがけずもたらした」
ということを学び、
「人類の資源と創意をこうした科学的冒険(注:宇宙開発のこと)に
 使うことは賢いことではない。
 それはむしろ、この地球を守るために
 使われるべきものれはないだろうか」
とおっしゃっている。

ま、ニンゲンがいらんことせんかったら、
起こらんかったよなぁ・・・
とは、腐人も思う。


そういえば、最後の最後に、
とても興味深いことが書いてあった。

人に感染したサル免疫不全ウィルス(SIV)だが、
大半のサルや類人猿に寛容で、
実験的に自然宿主でない宿主に感染させない限り、
免疫不全を起こすことはないんだそうだ。

なるほどねぇ。

腐人は戦争というのは、
天敵がいなくなったニンゲンの自浄作用として必要悪なものでは?
と思っているところがある。

しかし、その戦争も、ようやく歴史から学び始めた人類により
世界大戦レベルの大きなものが回避されるようになった。

その結果、自浄作用が働かなくなり、
ニンゲンが増殖する・・・。

なんとなく。
HIVや多剤耐性菌といったウィルスの進化や
最近あちこちで起こっている自然災害って、
機能しなくなった自浄作用の代わりだろうかという気がしてならない

えっと疲れちゃったので、
あとは、カウントのみ。
コメントはまた今度ー。

●2日
(570)マンガ 『ラストイニング 43』 神尾龍、加藤潔、中原裕
(571,572)マンガ 『クローバー 1,2』 稚野鳥子

[ 2014/07/03 ] 腹黒読書録 | TB(-) | CM(-)
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